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窓から私の家だった一軒家を覗き見る。ママは怒るときには台所の電気しかつけない。それが、どんなに夜遅くても。
「ねぇ、早月ちゃん!! どうして模試が全教科100点じゃないの!?」
「ママ、高校の全国模試は小中と違って100点なんて取れないの......そんなの取れるのは東大目指してる人くらいだよ」
「言い訳しないで! そんなの学校でちゃんと教えてもらえたら大丈夫でしょう!?!?」
「違う。本当ひと握りの人しかなれないんだって」
パート終わりの格好のまま髪を振り乱して叱るママと、終始俯いたままの姉。ヒラキは訳がわからないという風に私を見た。
「おい、説明してくれよ」
「えっとね。ママは真面目に勉強をしていたら小中みたいにテストで満点が取れると思っているの。それは全国模試も一緒。でも、知ってるかわからないけど、模試なんかは偏差値をだすためにどんな人でも満点を取れるようにはしていないでしょ?」
「そうだな。教科書や進度だって学校によって違う」
学校によっては3年生までの範囲を1、2年で一気に学ばせるところもあれば、ゆっくりと丁寧に教えるところもある。進学校とそれ以外でも異なるため、学校の勉強を真面目に受けることは全国模試での満点にはならない。
「それがママにはわからないの」
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