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 小学生の頃から、良くも悪くも悪目立ちするタイプだった。  クラスのなかではいつも背の順で最後尾だったし、地毛の明るい茶髪と目力強めのつり目のせいで、ふつうに見てるだけなのに、「睨んでる」とか「態度が悪い」と思われる。  背がデカいのは両親ともに高身長だからだし、地毛が茶髪なのはデンマーク人と日本人のハーフである母親譲り。目付きが悪いのは、父親のつり目に似たせいだ。  おれの見た目がそうであることに、おれには何の責任もないはずなのに。大人からすれば、おれは「生意気そう」に見えるらしい。  だから、どんな担任の先生に当たるかが、おれの学校での評価は大きく左右した。  ルールにあんまり厳しくないおおらかなタイプの先生だと、学校での評価は普通。だけど、規律に厳しい年配の先生とか、真面目で几帳面なタイプの若い女の先生とはとにかく相性最悪。  後ろの席のやつに「今、教科書の何ページ読んでる?」って聞かれたから振り向いて教えてただけなのに「授業中に私語はやめなさい!」って注意されたり、隣の席のやつが消しゴム落としたから椅子から立って拾ってやったら「授業中に立ち歩かないように!」って怒られたり。他のやつがやってもそこまで注意されないようなことでも、おれがやったら誤解を受ける。  おれ自身も、理不尽に注意されたらムッとして先生に言い返すタイプだから、そういうことの積み重ねが結局のところ大人からの低評価に繋がるのだろうけど。  道徳の授業で「見た目で人のことを判断するのはよくないです」って真面目な顔して話してる先生に限って、おれのことを見た目で評価する。
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