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 おれは榊に嫌われているのか、そうじゃないのか。彼女の反応は分単位でころころと変わるから、わけがわからない。  そんな彼女の気まぐれに、いちいちショックを受けたり、ほっとしたり、おれも同じように分単位で心を揺らされている。 「榊って、なんか変だよな」  トレーの上のポテトを摘まんで口に入れながらボソリとつぶやくと、榊がぎょっとしたように大きく目を見開いた。 「変って、どこが?」  榊が、少し強張った声で訊いてくる。  おれの指摘に対して、怒ったり笑ったりするんじゃなくて、ちょっと動揺して焦るあたり、榊にも自分が変な自覚があるのかもしれない。それを隠そうとしてるんだろうが、全く隠せてない。 「おれを探すために、カバンにつけたぬいぐるみや履いてるスニーカーの色を目印にしてるところとか」 「わたし、不自然だった?」 「そうじゃなくて、なんか榊の感覚って変わってるよなーって思う。おれさ、昔から、髪色の明るさとか目付きの悪さで目立つんだよ。今日のテストでカンニングの疑いかけられたのだって、おれの見た目がカンニングしそうなやつだって菊池に判断されたからだし。おれの特徴って、誰がどう見ても絶対に茶髪とつり目じゃん。それなのに榊は、髪とか目じゃなくて、おれのスニーカーの色が目立つとか言うんだもん。そんなこと言うやつ、これまでもこれからも、世界中で榊だけな気がする」  スニーカーを指さして笑いかけてきた榊の顔を思いだしながらそう言うと、彼女がおれを見上げてパチパチと目を瞬かせた。
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