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「そういえば、時瀬くんの髪の色は明るい薄茶だね」
榊が、まるで今気付いたみたいにそう言うから、ゆるやかに弧を描いていたおれの唇がぽかんと開いた。
「学校でも外でも髪色の明るい人はいるから、そこはあんまり気にしてなかったな。文化祭で助けてもらったときは、白いタオルを巻いてて髪の色がわからなかったもんね」
うつむいて微笑む榊は、目と口を茫然と開いているおれのリアクションなんて気にも留めていない。
ていうか、文化祭で助けたときのことは一応覚えてくれてたんだな。焼きそば焼くときに、汗が落ちないように頭にタオル巻いてたことも。
それなのに、おれの髪の色の明るさには気付いていなかったなんて。榊 柚乃の感覚は変わっている。
これまで、髪の色や目力の強いつり目のせいで「生意気だ」とか「態度が悪い」とか「怖い」とかいう負のレッテルばかりを貼られてきたおれにとって、榊の言葉や反応は驚きを通り越して衝撃だった。
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