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「――な、蒼生(あお)。おーい、蒼生、聞いてる?」  授業の合間の休み時間中。席に座って友達と喋っている榊のことをぼんやり見ていると、武下がおれの顔の前で手のひらを左右に振った。  高二になってから、おれは武下と西沢ってやつとだいたい三人でつるんでる。さっきから武下がずっと何か喋ってたけど、おれは榊のことばかり見ていて友人の話を全く聞いていなかった。 「悪い、何の話だっけ」 「だから、今度の日曜、どっかに遊びに行かないかって話。俺のカノジョの友達が、蒼生と仲良くなりたいんだって」  真顔で「へぇー」と答えると、武下が眉根を寄せる。 「うわー、すげー興味なさそう」  武下の隣で、西沢がケラケラと笑っている。 「だって、興味ねーもん」とつぶやくと、武下がちょっと唇を尖らせて「それじゃ、俺のメンツが立たねーじゃん」とぶつぶつ文句を言ってきた。
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