君だけのアオイロ

１

「違います」

　女性教師の顔を真っ直ぐに睨んでそう答えたら、彼女は眉根を歪めておれのことをあきらかに軽蔑の目で見てきた。

「悪いことをしたら、正直に認めなさい」

　またもや決めつけるような言い方をしてくる彼女のことが、死ぬほど嫌いだと思った。

　悪いことを正直に認めないといけないのは、おれじゃなくて、おれに責任をなすりつけて黙っている真犯人だ。

　周囲の席のやつらの顔を窺うようにさっと視線を動かせば、みんな、そろいもそろってうつむいて、教卓の女性教師と目を合わさないようにしている。

　客観的に考えてみれば、女性教師がおれを疑う理由は明白だ。

　おれの前後の席のやつらも、おれの隣の席の男子も、そいつの前後の席のやつらも、みんな見た目が真面目でおとなしそうで、カンニングなんてしそうにない。

　でも、しそうにないからって、しないわけじゃないだろ。通り魔事件とか、放火事件が起きたときだって、容疑者を知るとかいう人たちが「おとなしくて真面目そうな人でした……」ってよくコメントしてるじゃないか。