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アパートのインターホンを押すと出てきた彼女はもう部屋着に着替えていて、少し痩せたように見えた。
頬も、ワンピースの丸く開いた襟元から覗く鎖骨や首筋も。
「ごめんね。卒業式で疲れてるとこ、わざわざ来てもらって」
俺は黙って首を振った。
「時間ある?」
「もう、今日は用無いから」
「じゃあ、上がって」
「お邪魔します」
靴を脱いで部屋に上がると、彼女はまじまじと俺を見上げた。
「なに?」
「……背伸びたかなと思って。スーツだからかな」
「久しぶりだからじゃない」
「……そうだね。……今お茶淹れるから、座って」
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