卒業

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「そしたら、俺と付き合ってくれませんか。俺なんか学生で頭も悪いし、全然社会人の人にプラスになることないかもしれないけど」  喋って少しでも気が晴れるなら、と続けようとして、いやそれは自意識過剰じゃないかと思えて、やめた。  また、時が止まったんじゃないかと思えるくらい沈黙があって、でも周りの人は普通に動いてるから、俺たちが止まってるだけなんだと。  きっと今困って、断る理由考えてるんだろうなと思って、どうフォローしようかと頭巡らせていると 「……すごく嬉しいけど」 迷いながらのように口を開く。 「どうしてあなたがそこまで言ってくれるのか分からないし、さすがに一回会っただけで、うんとは言えないから」 「ですよね。すいませ……」 「だから、もし良ければまたご飯でも行く?」  それは苦笑いに近い表情だったけど、俺は 「行きます!」 と即答した。  翌月には付き合ってもらえることになり、中学や高校の時に映画見に行ったりする程度の相手は居たけど、本当の意味での彼女は初めてで、自分じゃ気づいてなかったけど後から聞いた話じゃ周りはドン引きするほどの浮かれ様だったらしい。
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