卒業

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「……あったま痛ぇ……」  朝。目覚めると頭の芯がガンガン痛んだ。  会社の研修だのいろいろ予定が入る前にと、早めの卒業祝いで飲み過ぎたせいだ。  ぼうっとしてたのが覚めてくると、ソファでピンクのクッション枕に寝てて、甘い匂いのする布団が掛けられてるのに気づく。  部屋の主の気配はなく、起き出してスマホを見ると何件も通知が入ってて、そのうちのひとつに目を留めた。  こんばんは。  久しぶりです。もうそろそろ卒業式だね、ってもう終わってたらごめんなさい。気持ちだけお祝いを渡したいのですが、時間ありますか?  短い、スタンプも無いメッセージは彼女からだった。  ゆうべの22時。飲んで酔っ払ってて気づかなくって朝まで放置して、既読もつかなくてどう思ってただろう。  まだ居酒屋の匂いがしみついてる頭をぼりぼり掻きながら全部のメッセージに目を通すと、最後に部屋の主から 『朝ご飯買いに行ってくるねー』 と、こっちはおはようとか飛び出すスタンプつきで入ってた。  女の部屋ってのは、まあ男もそうなんだろうけど、やっぱりその人を表してる気がする。  彼女の部屋は良く言えばシンプルで、悪く言えば味気ないほど物が少なく、整理整頓が上手というか、見えてるところには必要最低限のものしかない部屋だった。
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