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「ガニー君は朝一番のトイレに向かうとき、必ず私が寝ている布団の横を通りよるんや。
人間で言うと靴音かな、つまりカチャカチャとガニー君の爪の音で私は目覚める。」
「そのとき、そのガニーちゃんが『お早うございます』って言うの?」
「違うって、ガニー君が私の顔の横を通過するとき私が先に『ガニー君お早う』て声を掛けるんや。
すると、ガニー君も『オハニョウ』って挨拶してくれるんや。」
「へぇ~猫がね、高島さんとこの猫って人間の言葉喋るんだ⁉」
彼女は、そんな話をしながらもガーゼの上に透明の防水フィルムを張り付けてくれた。
「ハイ、これで治療はお終い、傷の上痒くなるけど掻いたりしないでね。
あっつ、それと、さっきの主治医の先生との相談だけど、やっぱり止めときます。」
「まだ、私を疑ってるんや⁉、それなら私の家で一晩泊ってみれば分かるよ」
「や~だ、それって私をナンパしようとしてるのね。
高島さん、あなた自分の年齢を完全に忘れてます。やっぱり暫くはCCUから出れないわね!」
「磯部さん、そりゃ誤解(ゴカイ)や!」
「そうよ高島さんのお部屋は確かに5階(ゴカイ)の第五病棟よ! じゃ、これから会議が有りますので、暫く大人しくしといてね。」
(2)
―完―
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