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___猫は猫でもいろんな奴がいる。
人間と一緒だ。
老人は震える足で帰路につきながら、
遠い昔、丁稚奉公で世話になった
店での出来事を思い出していた。
____丁稚奉公がまだ盛んにおこなわれていた時代。
それが技術習得の修行と言えば聞こえはいいが、
実際は親の借金の形で
老人はある寿司屋に売られた。
その頃、十歳だった老人に
自身が好きな事、やりたい事など
を選ぶ権利はなかった。
とにかく、親がこさえた借金を、
返すためだけに働く
道具になった。
親からは、愛情も何もかも教えてもらってない
老人は
包丁も握るどころか、
ほうきの掃き方一つも知らなかった。
そんな、何もできない小童を
兄弟子たちはいびり倒した。
老人の寝る場所は店の裏手にあった建てかけの荒ら屋の二階。
果物などが詰まった山積みの段ボールの隙間に布団を敷いて寝た。
夜な夜な両親が恋しくて涙を流すと、
隣で雑魚寝している兄弟子から
死ぬほど殴られた。
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