ねこねこあざらく

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「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはあかちゃんねこの魔法使い。  きょうやっと目が開いたの。  まぶしくてきれいなせかいにとびだしたら、  そこできみと出会ったの。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはこねこの魔法使い。  わたしの魔法はすごいの。  みんながわたしをかわいがってくれる。  猫舌だから、暖かいミルクはふーふーして冷やしてね。  きみのポケットの中がわたしのベッド。  どこに行くのもいっしょがいいな。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはこねこの魔法使い。  なんだか急に眠くなったと思ったら、お腹に傷ができてたの。  きみと離れて怖かったけど、家に帰ったらいっぱい抱きしめてくれたよね。  あの時はおこってごめんね。  きみに会えたらほっとしちゃったんだ。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  もうすっかりおとななの。  真っ白な毛に、色の違うビー玉みたいな目。  ピンク色の鼻に、とってもかわいいにくきゅう。  魔法使いにはたいせつな、杖みたいなかぎしっぽ。  今日もおしゃれにおおいそがしなの。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  きょうもきみに魔法をかけるの。  早く起きてごはんちょうだい。  眠い時はほっといてよ。  そこは撫でられるの好きじゃないの。  でも、撫でてほしい時はたっぷり撫でてね。   「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  きょうはねむたい気分なの。  おひさまあびて日光浴。  ぽかぽかしてきていい気持ち。  あつくなったら移動するよ。  気ままでいいでしょ、ねこなんだもん。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  のどをならして魔法をかけるの。  ごろごろごろごろ、ごろごろごろ。  ほら、疲れもとれたでしょ。  きみの胸の上がわたしのベッド。  冬はあたたかくて気持ちいいの。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  なんだかきみが大きくなったの。  学校でおべんきょうなんてえらいなぁ。  いっしょの時間はへっちゃったけど、  帰ってきたらいっしょにあそんでね。  すこしもさみしくなんかないよ。  ほんとだよ。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  きょうはとてもたいせつな日なの。  きみのドレス、すごくきれいだよ。  わたしの体とおんなじ真っ白なドレス。  ふたりでおそろい嬉しいな。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  のどが渇いたからお水をのむの。  あたらしいおうちはそらの上にあるみたい。  窓からみえるけしきは鳥よりも高いよ。  のどをならしてパトロールするの。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  じまんのけなみがぱさぱさしてきちゃったの。  よーくなめておていれしないと。  きみのおなかが大きくなってきた。  耳をあてると幸せな音が聞こえるよ。  わたし、君より耳がいいの。  うらやましいでしょ。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく。  わたしはねこの魔法使い。  きみに会えなくなったと思ったら、  急にきみと小さいいきものがやってきたの。  なんだかちょっときみに似てるみたい。  あまくていいにおいがするよ。  でもしっぽをつかむのはやめてほしいの。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  小さいきみのおもちゃであそんでいたらおこられちゃったの。  だってミルクのにおいがするんだもん。  目の見えなかったむかしのことを思い出すんだ。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  なんだか元気がなくなってきたの。  ごはんもあまりたべたくないな。  でもおやつならすこしはたべられるよ。  きみがなでてくれるだけでうれしいの。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  そんな顔をしないで。  涙なんて流さないで。  きみは笑ってる顔が一番すてきだよ。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  まだ目がみえなかったころ、神様にお願いしたんだ。  どこかでだれかといっしょになって、  毎日ごろごろ過ごせますようにって。  そうしたらきみと出会えたの。  魔法ってすごい。  本当に願いがかなったの。  わたしはねこの魔法使い。  きみのあたたかい腕の中でねむりにつくの。  いっぱいなでてくれてありがとう。  いっぱいほほえんでくれてありがとう。  いっぱいぎゅってしてくれてありがとう。  いっぱい、いっぱい、しあわせをくれてありがとう。  わたしはねこの魔法使い。  きみに3つのまほうをかけるの。  1つめのまほう。  わたしはどこにもいかないよ。  きみの胸の中にねむりにつくの。  だから、わたしのことをわすれないでねって。  わたしはねこの魔法使い。  きみに2つめのまほうをかけるの。  わたしのだいすきなきみの笑顔。  これからもその笑顔でみんなをしあわせにしてね。  だから、はやくきみがえがおになれますようにって。  わたしはねこの魔法使い。  きみにさいごの魔法をかけるの。  いつかまたあうことができたら、  ぜったいわたしをみつけてね。  だから、きみがげんきでながいきできますようにって。 「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  きみと出会えたおまじない。   「ねこねこあざらく、ねこねこあざらく」  わたしはねこの魔法使い。  またきみと出会えるおまじない。 おしまい      
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