第1章 落っこちて異世界

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第1章 落っこちて異世界

 ・・・んぁ。・・ここは?何処だ? 見渡す限りの白い世界。 上下も左右もわからない。 へ?まじでなんだここ?え?なにこれ怖い。 俺は太田零士(おおたれいじ)今年50歳のバリバリのおじさんだ。 生まれも育ちも田舎で、平々凡々。顔は平均以下。なんとか就職はできたもののブラックで。 朝から晩まで必死に働きはや30年、親の死に目にも会えず、気づけばボッチの50歳。 高校時代に1度だけ彼女出来たなぁ。華ちゃん。風の噂で、今度孫ができるって聞いたなぁ。 ふと、郷愁に涙が滲んで・・・ いやいや、そんな自己紹介してる場合じゃねぇ。今日もいつも通りに朝から晩まで会社でひいこらサビ残終わらせて、終電間際で自宅に帰ったはずだ・・ そして・・風呂に入って・・あ!コンビニ弁当!食うの忘れてた!そうだ。そのまま布団になだれ込んだんだよな・・ あれ?布団・・いつ敷いたっけ? 確かに男50の寡婦暮らしでも、そこはやっぱきちんとしてたからな。 ちょっと潔癖気味なんですよ俺・・・ じゃなくて! 「あれ?なんか・・でも白い・・ふとんに・・」 無意識に”声”に出して話しだした時だった。 「狭間に堕ちたんですよ」 いきなり、知らない声が聴こえた。 「んぎゃあ!・・なになに??」 「あらあら、驚かせたようでごめんなさい。」 とても謝っているような声音ではなく。まるで事務的な声だった。 「??ど・・何処に・・?」 周りを見回すが人どころか何もない全くの白の空間。 オロオロしていると、突然、目の前にフラッシュが焚かれたように光った。 「まぶしっ!」 「これでわかりますか?」 恐る恐る”目”を瞬かせながら見てみると目の前に人のシルエットのようなものが見えた。 「ひっ・・お・・おばけ!」 「おばけ?違いますよ。ただ、あなたが知覚できないだけです。身体が有りませんから」 そう言うとおばけ?は居住まいを正し(てる感じに見えるだけ) 「・・太田零士さん・・残念ですが先程、あなたはお亡くなりになりました。」 なんともテンプレートな臨終宣言だなぁ。と他人事のように聞いていた。 (ん?もしかしてあれか?所謂、異世界転生、チートもらってウハウハじゃ!てやつか?) 俺はこの年になってもそう云う物語や、ゲームなんかが大好きだった。 なのでこの先の展開を独り妄想し始めようとしていたが。 「・・あなたには、もう肉体が存在しません このままその御霊を清め、輪廻の輪へと還す事もできます。」 ん? 「ただ残念なことですが、地球ではなくここイリステリアに堕ちて来ました。なのでこの世界の環に入ることになります」 い・いりす・・なに?何処それ? 「そして、新たな生を受け、イリステリアでまた新しい天寿を・・」 「チョ~~っと待ったぁ!」 「??」 「いやいや、お待ち下さい。何処ですか?それ。てか、落ちたとは?」
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