第2章 旅とハーレム?の始まり

13/21
116人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
 「行きました!右前方!」 ザザザ!  下草を掻き分け、ソイツは敵意剥き出しに、向かってくる。 「…コイツが」  俺は腰を落とし、ミニマップを、意識しながら、ククリナイフを持つ 「ギイガァ!」  開いた口には、乱杭歯が並び、目を血走らせ、木切れを手に必死の形相で ”ブウン!” ”ギャァ!” ”ブン!”  木切れを振り回し、必死に立ち向かってくる、人型の緑色の肌を持つ。 「フッ!」 ”ザンッ!”  一刀で、その首を落とす。 「お見事!」  首を落とされ、指示の来なくなった身体は、ふらつき、その場に頽れる。 頭を失った、首から、脈打つように、濁った血がどくどくと流れる。 身長は、1m程の、異形。この世界で初めて、出会うモンスター。 「これが、ゴブリン…」  ヘイスから、武具を受け取った俺達は、調整や、連携などの諸々の確認も兼ねて エクスから少し離れた森の奥で、モンスター狩りをしていた  「…すっごい、切れ味ですね。何を付与してるんですか?」 キャロが、近づきながら聴いて来る 「あぁ、属性は風と、防汚でクリーンと、摩擦軽減。だから、切った感覚が、ほぼないんだよね」 「…はぁ?…怖いですよ、言い方」 「あ!ごめんごめん。でも、キャロのも同じ加工したから、切ればわかるよ」 「…つくづく実感しますよ、ノートさんの、規格外っぷり」 「ふははは!ホントに、見てて飽きんわい。なんじゃ、あの動き、一瞬で後ろに回り込みよって」  確かに。自身でも、薄々気付いている。 戦闘経験は無い。でも記憶に刷り込まれている。神に聞いた事。 だが、実際、それを行ってみると、違和感も感じる。  やけに、生々しい、感覚。一瞬で頭に出来上がる、動作の種類。 どう動き、どう捌き、躱し、確殺するかを、瞬時に選べる、思考。  今まで、生きて来て考えた事の無い、必要のない思考感覚。  何よりも、怖いのが、平然と、殺戮行為が、行えている事。 どうしてだ?自分は今まで、こんな世界とは真逆の平和主義者だったのに。  そこまで考えて、ハタと気づく。 精神は、齢50の太田零士だ。だが、肉体は違う。 そう。魂だけが、俺なんだ、と。  「…ノートさん?どうかしました?」 「…おい、どこか、痛いのか?」 「…え?!あ、ごめん、何でもないよ」  …詮無きことだ。 もう、太田零士は居ないのだ。 俺はノート。この世界の住人なんだ。 「さぁ、魔石と耳?だっけ?切り取って次!」 「え、えぇ。解りました」 「…変な奴じゃのぅ」  心のわだかまりを、無視するように、ナイフを物言わぬ、躯に向けた。 「これもいつか、日常に…なるさ」 小さくつぶやいた言葉は。ハカセだけが聴いてくれていた
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!