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エリクス辺境伯は執務室で、事務方に話していた
スタンピードの報は昨日、昼を過ぎた時点で、魔導通信で受けた。
慌てて、部隊やら、物資の手配などを打ち合わせていると、部隊の応援は不要
物資については、明日以降、もう一度連絡するとの事。訳が分からなかった。
スタンピードが起きた、それも同時多発的に。事態は一刻を争うはず。
なのに、戦闘部隊は、要請しない?救援物資についても、後日の連絡?
耳を疑ったが、次の言葉で、全てを悟った。
「スタンピードの排除には、ノートのパーティが、魔道具を使って当たる」
そういう事か。と。恐らく、セレス様も動くのだろう。で、有れば、言われた通り。
救援物資の準備を、進めるだけでよいと、判断。
そして、先程。魔導通信にて齎された結果報告。
「スタンピードに於いては、鎮圧完了。
付近にて存在した村に、避難時、軽微なけが人が有った程度。
物的損害、人的被害共に問題なしと判断。
故に、補給物資についても、不要」
エリクス辺境伯は、事務方が閉じた扉を見ながら、黙考する。
(いやはや。参ったですね。オーガロードに、
トロルの集団…瘴気溜りどころか、魔素溜りさえ、
調査で見つかっていない場所に…帝国の置き土産、でしょうかね。
…それにしても、彼。セリス様が惚れこむほどの、魔道具まで作りますか。
絶対に、敵対は出来ませんねぇ。果たして王には、どう進言しましょうかね)
その背をゲイル騎士団長は黙って見ていた
◇◇◇◇
「ふぅ。とにかく、今回の件は助かった。街の治安を預かる者として感謝を」
ハンス・コルゲン男爵の執務室で、俺達パーティと、衛兵隊の二人。
そして、冒険者ギルドのマスター、シェリーが、代官に事後報告に来ていた。
「いえ。俺達冒険者は、これが仕事ですから、ね。」
そう言って、セーリスさんを見る
「だな。隊長、こいつ等には、討伐金とランクが、手に入る。
そこ迄、せんでいいぞ」
「そ、そうか。でも、礼くらいはな。ありがとう」
「「はい!」」「うむ!」一人のけぞるセリスさん。
「ははは。まぁ、とにかくよかった。誰も怪我無く、無事で。」
「…トロルは、離れた所から、こう、チョンだけでしたからね」
引き金を引く真似をして、何でもないと言っておく
「はは。その様な、恐ろしい魔道具、街中では厳禁ですぞ。特にセリス様」
「な、何の事じゃ?儂は関係ないぞ!フユ~ヒユ~」
「…はぁ~。ロスト・アイテムです。何卒、お願いしますぞ」
「そうだ!忘れてたよ。セリス!なんちゅう物を作らせんだよ!」
「何おぅ?!言うただけで、作れるお前がおかしいんじゃ!
何じゃ、あの訳解からんほどの、術式!頭が煮える!思うたわ!」
「何をぉ!…何じゃぁ!ムキャァーー!」
”パカン” ”ポカ” 「「痛い!」」
「二人共うるさい!!」
「「はぁ~い…」」
シェリーに怒られた。
「ンンッ…とにかく。ハンス様、事態の鎮静は終わりました。
報告は、お任せします。報告書については、冒険者ギルドは、
衛兵隊に廻しますので。」
「はい。よろしくお願いします。」
「それから、このパーティですが、そろそろ」
「…そうですか。そうですね。準備ももう出来ているんですね」
そう言って、ハンスは俺の顔を見る
「はい。移動に使う、魔導車も手配しています。
後は、あいさつ回りさえ終われば」
「そうですか。少し、寂しい気もしますが、貴方達の事だ。
すぐに会えそうな気もします」
「はは。ですね。頑張れば、転移むごっーー」
「お・ま・えは、口が軽すぎだぁぁぁぁああ!」
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