裏切り

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裏切り

僕の名前は、吉田。 僕の友達の中で、とても優しい男がいる。 彼の名前は、松田。 僕は、松田が怒っている姿を一度も見たことがない。 金を借りパクった時だって、松田が好きだった彼女を僕が取っても怒らなかったし。 そんな時、いつも、 「吉田には、かなわないなぁ。」 って言って、いつも笑っている。 本当にいいやつだ。 そんなある日、登山のイベントに参加した日、 「おー!松田も参加するんだ。」 「一回、登山やってみたくて。」 「そっか、じゃあバスに乗ろう。」 僕たちは、バスに乗り、山へ向かった。 山へ登る途中のトンネルに入ろうとした、 その時、 ゴロゴロ、ガッシャーン!! 山からの落石がバスに命中した。 「嘘だろ……ここで死ぬのか、……」 僕は、そのまま気を失った。 「…い、おい、おい!起きろ!」 「………はっ!」 僕は、目を覚ました。そしたら、 目の前で、松田が僕のことを介抱してくれていた。 「松田……僕のことを助けてくれたのか?」 「あぁ、君は、死なせたくないから……」 あぁ、なんて良い友を持ったんだろう。 今までの行動に後悔した。 松田の腹をよく見ると…… 「松田!お前腹にナイフ刺さっているぞ!」 ドクドクと、血が垂れていた。 「こんなんどうってことないよ。  ただ、君が無事で良かった……」 松田は、今にも倒れそうだった。 「そんなんダメだよ!!  救急車、救急車呼ばなきゃ!」 電話で呼んで、15分後、救急車は来た。 僕は、本当に良い友人を持ったと改めて自覚した。 病院に、ついて診察したら、松田よりも、 僕の方が怪我が酷かったらしい。 酸素チューブに繋がれて、今も自由に動けない。 一週間後、 「続いてのニュースです。昨夜、  〇〇病院にて、患者の吉田和成(よしだかずなり)が、  死亡しました。死因は、酸素チューブが、  取り外されたとのことです。  事故か、意図的に行われた犯行なのか、  いまだに不明です……」
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