お似愛

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お似愛

僕は重要なことは何も出来ない。妻である彼女が決断してくれるから。 家事や育児や仕事はもちろん、出来る。キッチリ分担している。 ネット動画視聴基本料や宅配サブスク料、交通系ICカードやコンビニ決済カードなどはお互いの財布から折半している。 共働きでお互いの忙しさも認識し合っている。 フェミニストであり男女平等的でもある。 「コロナ禍でだいぶん、女性のリーダーが活躍したわね」 「そうだね」 僕は人は最初全てが女性であったことを知っている。子孫繁栄のため性が特化しただけ。 だから、女性の優秀さを知っている。その知識情報は僕のDNAに組み込まれている。 僕は本当の意味での女性の時代がもう来ていると思う。全てを解決できる。 「そういえば、今月の家賃振込チャージってどうするんだっけ」 「オーケー!後でわたしやっておくから、タブレットの側に置いておいて」 彼女は最新のタップ技術で、一瞬にしてチャージする。どう操作しているかも瞬間素敵過ぎて目にも止まらない。金融機関へのローン支払いチャージ、子供の学費授業料支払いや生活費チャージ、株式の信託更新切替タップなどは全て彼女がやる。 そんな僕でも毎晩彼女が寝る前に、タップダンスくらいはできる。心地よいステップ音で和まし癒す。 僕はいつ死んでも彼女を幸せにできると確信している。 なぜなら彼女は優秀だから…だから僕は重要なことは何もしない。 僕の預金残高が減っていても見ない。僕の株が上がるようにしてくれるから。 それが『お似愛』 僕が単純な料理を作って不味かった時も彼女は「美味しい」と言う。 彼女が凝った料理を作って不味かった時も僕は「すごく美味しい」と言う。 それが『お似愛』 彼女の両親が亡くなった時に僕は肩を抱き「ハンカチ」を差し出す。 僕の両親が亡くなった時に彼女は励ましながらさりげなく「ハンカチ」を差し出す。そして、資産の確認をする。僕は彼女の時にさりげなく出来なかったことを反省する。 それが『お似愛』 いつの時代もどんな瞬間も女性は優秀なのである。だから僕は何もしない。 その方がいい。
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