図書館での再会

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図書館での再会

港が近い田舎町。 私、森下(もりした) 理沙(りさ)はその町で唯一ある小さな図書館で働いている。 白樺で建てられた図書館は長年潮風にさらされ続けたせいで時折ギシギシと音がして、あまり人が寄り付かない。 新卒で就職した会社を退職し、再就職もせずダラダラと毎日を過ごす私を見かねた両親が頼み込み、親戚が趣味程度で運営しているこの図書館にお情けで雇ってもらっていた。 従業員は私だけでほぼ毎日誰も来ないこの図書館は、私にとってダラダラと過ごす場所が家からここに変わっただけであり、何もない毎日にあくびがでるばかりである。 そんな毎日に、小さな変化があった。 図書館には入り口とは別に庭とバルコニーへと続く裏口がある。 そこから入ったのだろうか。 裏口近くにある机と椅子は窓際のせいで太陽光で眩しく照らされている。 そして照らされたその席には、高校生のときに付き合い、そして振られた、元カレの白崎(しらさき) 春樹(はるき)が座っていた。
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