君と知らない過去。

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あたしを真っ直ぐに見つめ、少し寂しそうにも見える表情で言ったりっくん。 「あ……」 何て言ったらいいのか分からず、あたしが吃ると、 「ごめん、困らせること言った」 りっくんは繋いだ手をゆっくり離すと、そのままポンポンと頭を撫でて、「また放課後に」と言い残してバスに乗り込んだ。 バスの中から、見えなくなるまで手を振ってくれるりっくん。 あたしも手を振り返しながら、どうしてそんなに想ってくれるんだろう……って、胸が傷んだ。 あたしは同じだけの気持ちを返せてない。 それなのに、どうして──。
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