同じになってきた

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 しかし、それから数日後。  妙な光景を見てしまった。  ソファに座ってくつろぎながら、彼女が料理をしている台所の方に、ふっと目をやった。  もうほとんど出来上がったようで、味噌汁の良い匂いが鍋から漂っている。  彼女はお盆を2つ並べ、それぞれに焼き魚の皿やお茶碗などを載せていく。  そして最後に、味噌汁をよそった器を載せた。  それから彼女は、あの高級な塩と言っていた容器を取り出すと、その蓋を開け、小さじで中身をすくい取った。  遠目に見ただけだが、それが灰色がかった粉末だと分かる。  彼女は不思議なことに、それをKさんが飲む味噌汁にだけ入れた。  器の色で、どちらのためのものかは判別できるのだ。 「あれ、なんで俺の分にだけ入れるの?」  座ったまま尋ねると、彼女はビクッと身体を震わせてKさんを見た。  ただ、動揺した様子を見せたのも一瞬で、それからすぐに、いつもの優しい笑顔に戻った。 「見られちゃったか。でも、もう大丈夫かな?」
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