2人が本棚に入れています
本棚に追加
あの容器の蓋を閉め、大事そうに両手で包ながら、Kさんの方に歩み寄ってくる。
「これはね……」
傍に立った彼女は、指先で容器を愛おしそうに撫でた。
「元カレのお骨なの」
その一言で、Kさんの全身に悪寒が走る。
「ほ、骨……?」
「やっぱり、カレに生き返って欲しくて。
もしかしたら、誰かの中にカレを入れれば、魂も入れ替わってくれるかなって思ったの」
「そんな……。じゃあ君は、これまでずっと……?」
その問いかけに、彼女は悪びれる様子もなく微笑んだ。
「ほんとは自信がなかったんだけど。
でも、良かった」
大きくて愛嬌のある目。
その目尻が、醜く下がる。
「だんだん、カレと同じになってきた」
最初のコメントを投稿しよう!