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≪ ① ≫
私の生活は、猫至上主義のもと、なりたっている。
完全な下僕だ。
自分は下僕だ、と鼻息荒く言うことがステータスとさえ感じている。
いわゆる自己満足とでも言おうか。
あの柔らかい、若干湿ったぷるっぷるな肉球で優しくほっぺたタッチ、おねだりをされたら
「イェッサー!
すぐに支度致しまっサー!」
と常に傍らにあるトロっとしたおやつを献上するのが私の日常。
すぐに出してさしあげないと、
「もう、いー」
のような「にゃっ」と短い声を発して飛んでいってしまうので、いつも大急ぎだ。
もっと触ってほしくて、
「それじゃ足りませんねぇ~」
なんて焦らしてみると、やはり「にゃっ」と飛んでいってしまうので、それも要注意だ。
「あ、待って!
もう焦らしませんから!」
と振り返り手を伸ばす自分が実は好きである。
さらに言うと、素敵な音色をたて、目を細めながら食すお顔にうっとり見惚れていると、突然お顔を上げ「にゃっ」と飛んでいってしまうバージョンもあるから侮れない。
「あ、待って!
まぐろよりサーモンでしたか!」
すぐに辺りを掘り始めるバージョンと互角の勝負だ。
その後、しばし呆然と空を見ている私の膝に舞い戻ってくるところも心が読み解けないでいる。
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