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≪ ④ ≫
リアルはファンタジーではないから、
・私とプリンセス以外に誰もいない部屋で聞こえ続ける知らない声。
・私を見据え続けるプリンセス。
もうそこにはホラーしかないと私は思う。
どこかで野良さんに遭遇したとしても、
「おい、何見てんだよ」
見渡せども私と野良さんだけのその場。心臓が早鐘を打つことでしょう。
そこで、新たな疑問がわく。
それは日本語?
流暢な日本語を話すとは限らないが、
「我々には互換性があるのです」
なんて言われたら、それはすごい文明だし世紀の発見でもある。
何より『我々は』って、
他の仲間は?
猫全部?
一部?
異種混合?
え?
互換て。
マイクロSDカードがある時代だから、猫の脳に負ける人間てのも納得できる。
なるほどマイクロチップか!
でもあれは、人の勝手な都合のもと埋め込まれてしまうものだから関係ない。
しかし、マイクロチップが放つ微量な電流かなんかが作用し、脳に刺激を与え、日本語を話し出すシステムに変換されると考えれば、ややもすると……。
いや、日本語とは限らないのだ。
でもそれは互換性があって、こちらに合わせてくれるわけで。
言語を合わせることができるのなら、蔑みやぼやきも取っ払われるのではないだろうか。
むしろ、こちらの意を汲んだ会話が成立しそうだ。
丁寧で嫌みのない流暢な日本語。
「こちらのおやつはサーモンでよろしかったでしょうか」
「座らさせていただき、舐めさせていただく前に私がご確認させていただ──」
なんてことにはならないのだろう。
となると、私が想像したホラーはどうなるのか。
「キューちゃんっ お は よ」
を聞いてもホラーにならないのは幼い頃から九官鳥が認識済みだからなのだろう。
我が家のプリンセスは話すのかな。
その時は、フランクに会話できるよう普段から(今まで通り)シミュレートしておこう。
ん、待てよ。
プリンセスにはマイクロチップが入っていない。
話し出したとしたら、それ即ち高度な文明をもつ猫さまということか。
どちらにしても、私は彼女の下僕であることには違いがないので、ホラーであろうとなかろうと、私の下僕生活は続くというわけか。
そういうことか。
なんと幸せかな
にゃんだふる・らいふ♪
(完)
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