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全校集会で校長が風羽のことを語るのを、明美はどこか遠い場所の出来事のように感じていた。
特殊な亡くなり方をしたと言っていた。
まさか足が一本なくなっていたとか?
そう考えて即座に否定した。
自分まで飲まれてどうする。
でも、と思う。
風羽も成美も右足首が赤紫に変色していた。
虚構の怪談話が実態を持って襲いかかることなんてあるのだろうか。
前の列に並ぶ成美を見た。
彼女は泣いていた。
明美もまた風羽を思って泣いた。
教室に戻ってきても誰とも話す気にならない。
明美は机に突っ伏した。
「もしかして長富さんが亡くなったのって、一本足の黒猫が原因かな?」
「不謹慎なことを言うなよ」
ふと耳に入ってきたクラスメイトの男子二人の会話に顔をあげる。
今、なんて言った?
一本足の黒猫って?
聞き間違いかもしれない。
明美は二人の会話をそれとなく盗み聞きすることにする。
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