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掲示板には好き勝手に、一本足の黒猫のことがかかれていた。
『自分も片足で追いかけなければならない』
『白猫の毛を持っていると足がはやくなる』など。
「こんな話、私はしてないのに」
「一人歩きし始めているってことなんじゃない?」
「たったの一日でこんなにひろまるものなの?」
「……確かに」
成美が適当に話した嘘話が、恐ろしく早いスピードでひろまっている。
「こんだけかき込みがあるのに、なんで対処法だけないのよ」
成美の声は苛立っていた。
それもそうだろう。
彼女はもうすでに一回、一本足の黒猫と遭っているのだ。
「ねえ。嘘からうまれたものなら、私たちで新たに情報を加えればいいんじゃない?」
「例えば?」
「おまじないを唱えたら二度とでてこなくなる。そう断言してかき込むの」
「一本足の黒猫が本当の話になったように撃退法もひろまれば、それも本当になるかも」
「うん」
「わかった。かいてみる」
成美はさっそく新しくかき込む。
『一本足の黒猫に遭ったら、消えろを反対に読んで三回口にだせばいい。そうすればもう二度とでてこなくなる』
「これでいいかな?」
「……うん」
あとはただ、このかき込みが浸透すれば。
ただ祈るばかりだ。
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