ブラックナイト

13/15
前へ
/15ページ
次へ
掲示板には好き勝手に、一本足の黒猫のことがかかれていた。 『自分も片足で追いかけなければならない』 『白猫の毛を持っていると足がはやくなる』など。 「こんな話、私はしてないのに」 「一人歩きし始めているってことなんじゃない?」 「たったの一日でこんなにひろまるものなの?」 「……確かに」 成美が適当に話した嘘話が、恐ろしく早いスピードでひろまっている。 「こんだけかき込みがあるのに、なんで対処法だけないのよ」 成美の声は苛立っていた。 それもそうだろう。 彼女はもうすでに一回、一本足の黒猫と遭っているのだ。 「ねえ。嘘からうまれたものなら、私たちで新たに情報を加えればいいんじゃない?」 「例えば?」 「おまじないを唱えたら二度とでてこなくなる。そう断言してかき込むの」 「一本足の黒猫が本当の話になったように撃退法もひろまれば、それも本当になるかも」 「うん」 「わかった。かいてみる」 成美はさっそく新しくかき込む。 『一本足の黒猫に遭ったら、消えろを反対に読んで三回口にだせばいい。そうすればもう二度とでてこなくなる』 「これでいいかな?」 「……うん」 あとはただ、このかき込みが浸透すれば。 ただ祈るばかりだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加