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それから幾度目かの夜。
明美はベッドに腰かけたまま、成美と通話していた。
部屋のテレビは一日中、つけっぱなしだ。
最近はもう学校にも行っていない。
行けるような状態ではなかった。
テレビでは、片方の足がない奇妙な死体が増えていることをレポーターが伝えている。
まただ。
また犠牲者がでた。
せっかく作ったおまじないは、
『遭遇したらもう終わり』
『助かる道はない。怖いと思った時点でアウト』
という死を示唆するかき込みに埋もれていった。
明美は思う。
信じた人の数が多ければ、多いほど一本足の黒猫の信憑性も高まるのではないかと。
実態をより濃く強くしていくのではないかと。
「明美?起きている?」
「うん。成美は?」
「起きている」
お互い、どこかふわふわとした会話になっている。
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