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まもなく夜中の十二時になろうとしていた。
お泊まり会をしようと提案したのは、成美だった。
「高校二年ももうすぐ終わるし、三年になったら忙しくなるじゃない?だから思い出作りしようよ」と。
そして当日、始終恋ばなで盛りあがっていた。
それがいつの間にか怪談話にシフトチェンジしていた。
風羽がその手の話が苦手なのを二人は知っている。
わざと成美は一本足の黒猫だなんて怪談話をしたのだろう。
明美はそう思った。
ふと風羽が静かなのに気づいて、明美は彼女を見た。
青ざめた顔で震えている。
「大丈夫?」
「成美ちゃん。一本足の黒猫から逃げる方法ってないのかな?」
「こんなの気にしたら負けだって」
「あるよ」
「本当に?!教えて」
「掃除当番をかわってくれたら、教えてあげる」
「成美も悪のりしないで」
「する!するから」
それじゃあ、と言って成美が話しだすのを明美は冷めた目で見つめた。
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