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カーテン越しに光が射し込んでくる。
眩しさに息を漏らしながら、明美は寝返りをうった。
手を伸ばし時計に触ろうとして、空をつかむ。
あれ?と思って薄目をあける。
見慣れない部屋がうつる。
ああ、昨夜は成美の家に泊まったんだっけ。
ぼんやりとした頭のまま情報を整理する。
「うう」
うめき声がすぐ隣から聞こえて、そちらに目をやる。
風羽が眉間にしわを寄せて苦しんでいた。
悪夢でも見ているのだろうか。
起こした方がいいだろうか。
明美が逡巡する間もうめき声は大きくなっていく。
成美ももぞもぞと動きだす。
明美は風羽の身体を優しくゆすることにした。
「風羽」
「っ、や、やだ」
「風羽ってば」
さらにゆすろうとした瞬間、手首に痛みが走る。
見れば風羽の手ががっしりとつかんでいた。
爪まで食い込んでいる。
思わず顔をしかめる。
「明美……ちゃん?」
風羽がまぶたをひらく。
両目から涙が溢れだしていた。
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