ブラックナイト

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部屋はカーテンがしめっぱなしになっていた。 明かりはついているが、どこか陰鬱な空気が充満している気がしてならない。 「風羽、ちゃんと寝ているの?」 「寝たら一本足の黒猫がくるから」 ーーだから寝ないの。 風羽はそう言って目をこすった。 明美が成美の脇腹を肘でこづく。 「あのさ、一本足の黒猫の話。完全に嘘なの。でたらめもいいところ。だから実在しないんだよ。だって私の創作怪談なんだから」 成美が言いきると、風羽が小さく笑った。 「本当か嘘かなんて関係ないよ。一本足の黒猫は確かに存在しているんだから。見て」 風羽は右足のパジャマのズボンをまくしあげた。 あらわになった足首は赤紫に変色していた。 「五日ぐらい前かな。追いかけられなくて足を持っていかれそうになったの。ぎりぎりで問いかけることができたし、二回鳴いたから助かったけど」 「だから作り話なんだって!」 「いるの!だんだん追いかけるのがきつくなってきているの。速度がはんぱなくなっていて。次に遭ったら私……。ねえ!本当はまだ他にも対処法あるんでしょ?」 「知らなーー」 「教えて!何でもするから!教えてよ!」
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