捨て箱

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 次の日は午後から出勤だった。昼間は子どもたちが遊んでいるので公園は通れない。でもたくさんの子どもがいるし数人の保護者もいる。散歩の老人もベンチに座っている。誰かが気がついて箱を開けるだろう。これだけの人間がいれば誰か連れ帰って飼ってくれるだろう。そう思い私はスーパーへ向かった。  仕事をしながら箱の事が気になった。子どもは思っているよりも残酷だ。まさか猫に水道の水をかけたり滑り台から無理矢理滑らせようとはしないだろうか。恐怖で暴れて滑り台から落ちる事も有り得る。猫ならば少々高い所から落ちても大丈夫だろう。でもまだ目も開いていない仔猫なら落ちたら怪我をしてしまう。若しくは公園から逃げ出して車に轢かれたりする危険もある。  心配で仕事が手につかなかった。さっさと仕事を終わらせ私は公園に向かった。  もうあるわけないだろうと思いながらも公園に入った。トイレを見ると箱はなかった。誰かが気付いたのだろう。少し安心して公園を出ようとすると、ベンチの下に箱がある事に気が付いた。
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