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果たしてそこに箱はあった。屋根の下だったので濡れてはいない。でもブルブル震えていた。私は抱き上げそのまま部屋へ連れて行った。
「ごめんね、寒かったね。怖かったね。すぐに出してあげるね」
私はカッターを取り出し箱に貼られたガムテープに刃を突き立てた。
「ギャー!」
突然大きな叫び声が上がった。
「ヒッ!」
箱から真っ赤な血液が滲み出ている。箱はのたうち回った。まるで猫のように……。
まさかこの箱自体が"生き物"なのだろうか。まさか、まさか……。
それでも血が出続けている。ティッシュで拭うと生温かかった。困惑しながらも傷薬を塗り絆創膏を貼った。箱にーー。
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