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 翌朝、いつまで経っても起きてこない悟志を料理の手を止めて起こしにいく。 「悟志! いつまで寝てるの。あなたの目覚ましは役割を果たしているはずなのに、毎朝毎朝どうして起きてくれないの」  カーテンを勢いよく開けながら、悟志を起こす。 「んー。あと五分」 「あと五分を発動できるのは、時間に余裕のある人だけだよ。ほら、起きなさい」  今度は布団を引き剥がす。 「あー月曜だりい」 「その気持ちは、わかる」 「わかるだけじゃダメだ。わかるなら、せめてご慈悲を」 「なに言ってんの?」 「すみません」 「じゃ、起きてきてね!」 「はーい」  それから五分経ち、十分経っても悟志は起きてこなかった。  様子を見に行くと、引き剥がしたはずの布団の中だ。 「悟志」  さすがに怒り声を出すのと同時に、再度布団を引き剥がし、両手でさとしの顔をぺちんと叩く。 「いい加減にしなさい! ちゃんとして!」 「うっ」  悟志は小さく呻くと、急にパチリと目を開いた。 「ごめん母さん。もう大丈夫」 「それなら良いけど。急ぎなさいよ」 「はい」 「よろしい」  その後、リビングに降りてきた悟志は、人が変わったかのように手際よく動いた。一番の驚きは、朝食の食器をきちんとシンクに下げたことだ。初めてかもしれない。素晴らしい。  無事、夫と悟志を送り出し、いつものように仕事に行くための準備をする。ゆっくりコーヒーを飲む時間くらい欲しいものだ。
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