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夫に連絡をしても反応がなかったため、そのまま家に帰る。家に着くと夫はソファーで寝ており、どうやら悟志は二階にいるようだ。
「ただいまー」
一応声はかけたが、反応はない。代わりに、猫のミーが返事をくれる。
「ミーちゃん、ただいま。あれ? ご飯なかったね。ごめんごめん。今あげるからね」
キャットフードをお皿に入れると、ミーは足早にやってきて、夢中でご飯を食べていた。
ダイニングテーブルには夫が食べたであろうコンビニ弁当の脱け殻と飲みかけのビールが置かれている。その惨状にひとつ溜め息を残し、二階に上がって悟志の部屋を訪ねる。
「ただいま。悟志、ご飯は?」
「おかえり母さん。ご飯は食べたよ。プラスチックは洗ってゴミ箱に」
「どうしたのあんた。大丈夫? 何してるの?」
「今は勉強してる。今日やったとこの復習と明日の予習」
一瞬、ありえない返答に言葉を飲み込んで、一呼吸おく。あまり大袈裟に反応して、やる気を削いでしまってはいけない。親というのは選択の連続だ。どう行動するか、どんな声をかけるかで、子供の人生や今後の歩み方が、変わってしまうかも知れない。
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