飲み会

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私はアルコールのせいなのか、恥ずかしさからか顔が赤くなっていくのを感じた。 顔が赤くなっていく。 なぜだろう。 先程まで村井君を囲んでいた女性社員は、課長達と飲んでいた。 その様子に驚きながら聞いた。 「村井君、あそこに座っていたんじゃないの?」 「課長が来たので、変わって頂きました。 皆さんと喋りましたけれど、江田さんとはちゃんと話してないので。」 私じゃなくてもいいのに…。 村井君は涼しい顔でビールを飲んでいた。 空になったグラスにビールを傾けて言った。 「どうぞ」 「ありがとうございます。 江田さんは彼氏居ないんですよね?」 「うん」 「少し顔が赤いですよ? 飲み過ぎたみたいですね。」 「お酒はあまり強くないし、飲み会って得意じゃないの。」 「そうだったんだ。 それでも来てくれたんですね。」 村井君に誘われたから来ただけなのに。 誘われたから? 私、どうしたんだろう。 私が俯いていると、隣の村井君が近づいて来て顔を覗き込んだ。 「江田さん、大丈夫ですか? 気分が悪いみたいだから、外に出ましょう。」 そう言って私の手を取り、強引に立たせて外へ連れ出した。 繋がれた手が汗ばんでいく。 外に出ると春とはいえ、少し冷たい夜風にあたった。
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