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私の頭の中に流れる映像を見ているのは、紛れもなく現世の私。
しかし、私の口から出てくる言葉は、私自身の言葉ではない。
なんと説明すればいいだろうか。
私の肉体は現世の私のものに間違いない。
その頭の中に見る映像には前世のわたしがいる。
映像を脳内で見ている私の気持ちとは裏腹に、私が話す内容は前世のわたしなのだ。
「周りを見渡してください。何か見えますか?」
穏やかな声に私が答える。
「白い建物。十字架‥‥」
「あなたは何歳ですか?お名前は?」
「‥‥」
頭の中にいるわたしはまだ若い。二十歳くらいだろうか。
名前も年齢も、私の頭の中のわたしは教えてはくれない。
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