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「あなたのいる場所はどこですか?」
そんなことを聞かれた気がする。
「‥‥日本です。」
頭の中に浮かび上がる映像は、物凄い早さで切り替わっていく。
本来の自分の存在を忘れてしまうような感覚を覚えた。
「あなたは何をしていますか?」
「わたしは‥‥修道院で子供達のお世話をしています。19歳の時にここへ来ました。」
退行催眠療法では、今現在の自分に一番影響力のある前世が現れるそうだ。
この後暫くの間、ドクターに何を聞かれたか全く覚えていないけれど、頭の中に流れる映像は、前世のわたしと思われる若い女の子が笑いながら子供達と戯れている姿だった。
笑いながら、といっても声は聞こえない。
優しい、可愛らしい笑顔。
白く透き通る様な肌に長い黒髪。
細く華奢な身体に小さな顔。
やっぱり現世の私とはまるで違う。
現世の私に一番影響を及ぼす前世というが、彼女は一体何を言いたいのだろう。
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