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映像は、まるで繋がらないバラバラの紙芝居のようだ。
子供達と楽しそうにしていたわたしは、暗く冷たいコンクリートの壁に囲まれた狭い場所にいる。
上方にひとつだけついている小さな小窓から、日差しが洩れているが、「木洩れ日」と呼ぶには寂しすぎる。
わたしはその冷たいコンクリートの上で横たわって泣いている。
「あなたは何を思っていますか?」
そんなことをドクターは言っていたと思う。
映像は切り替わり、わたしは再び裸足で走っている。
最初に見た光景だ。
枯れ野原を裸足で走るわたしの足元から、少しずつ映像は上の方へと向かい、わたしの白魚の様な手を別の誰かが握っている。
がっちりとした大きな手だ。
わたしは誰かと手を繋ぎ、走っている?
いや、逃げているみたいだ。
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