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「は?なにそれ?
友人関係に戻ったって言っても、アンタらあれから一回も会ってないんでしょ?
じゃあ、もはや友人でも無いじゃん。そういうの、ただの“他人”ってゆーのよ?」
酔っているのか、スミレの口調がいつもより少し怖い。
「おっしゃる通りでございまして…、てか、なに?これアタシの事情聴取?じゃあカツ丼頼んでもらわなきゃ」
少し空気が強ばったのを感じたアタシが、雰囲気を和らげようと苦笑いしながらボケを挟んでみたけど、スミレは真顔でスルーし、拾ってくれなかった。
「それだけサークルのみんなが、アンタと晃樹のことを心配してんのよ。ケンカ別れしたわけじゃないんでしょ。なんとか元サヤに戻れないの?」
「んー、そんな簡単な話じゃないんだなー、これが」
「じゃ、なにが原因よ。
晃樹寝ちゃってるから、いま言っちゃいな。
スミレ先生が聞いてあげるからさ」
目の据わったスミレがずいっと身を乗り出して迫ってきた。
こうなったら、スミレは引かない。
この若さで女子高生の生徒指導も任されている実力者だ。中高と中途半端な生き方をしてたせいで、生徒指導の先生に目をつけられ続けていたアタシの本能なのだろうか。スミレの目に奥に、生徒に向けられているのと同じ光を察知。
---ヤバい。狩られる。
アタシと晃樹の“恋人感”の違いから友人関係に戻る決断をするまでの一連の経緯を、包み隠さずに話ざるを得なくなってしまった。
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