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「ふーん。やっぱりアンタが悪いんじゃん」
スミレ以外のメンバーが酔い潰れて寝てしまうくらい長々と説明をしたアタシの話を、先生らしく最後までフンフンと聞いたあと、スミレは友人に戻り、遠慮なくズバッと言い切った。
そして一呼吸置いたあと、再び先生モードに戻って生徒に諭すように話し始めた。
「あのさ。新社会人がいつまでもフワフワしてると“いつまで学生気分でいるんだっ!”って上司に怒られるじゃん?
アンタは晃樹に“いつまで友人気分でいるんだっ!”って思われてたってことでしょ?
そりゃ私も晃樹に同情するわ…」
「わ…分かってるわよ。んなこと」
「まだ…というか、アンタあれからもずっと好きなんでしょ?晃樹のこと」
「う…ん」
改まって聞かれるとアタシは恥ずかしくなり、小声で小さく頷いた。
「じゃあさ。もう一度晃樹とやり直したいと思ってる?」
「…う…ん…」
「声が小さいっ!腹から声出せっ!腹から!
リピートアフターミー?
“ワタシハ、コウキト、ヤリナオシタイ”」
「恥ずかしいよ。てかなんでカタコト?」
午後11時を回り、午後7時から飲んでいるメンバーは、スミレ以外みんなもう頭が船を漕いでいる。
かく言うアタシも、午後10時から遅れて参加したのに、スミレに“駆け付け三杯”と言われて急ピッチで飲まされてしまったので、こっちも少し呂律が回らなくなってきていた。
「こまけーことはいいから!
私は、ゆうこりんの本当の気持ちが聞きたいな。はい、ちゃんと言って!」
アタシは周りを見渡し、スミレ以外寝ている、もしくは前後不覚状態にあることを確認。
今ならスミレ以外、私の話を誰も聞いてない。
「んもう。しゃーないな。じぁスミレ先生にだけ言ってやんよ。
アタシは、晃樹と、もう一度やり直したいです!」
「…ゴフッ」
アタシがそう口にした瞬間、向こうのほうで何やら咽せて咳をした音が聞こえた。
音がした方向に目をやると、さっきまで寝ていたはずの晃樹が何やら悶絶してピクピクと震えていた。
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