1. 守り刀と対魔師と後輩二人

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 私も彼の作ってくれた朝食に集中する。うん……ぬか漬け、美味しいじゃないの。  ぽりぽりと齧っているうちに、起き抜けに考えていたことが頭の中にふと浮かび上がる。  そういえば、義明の家族の話って聞いたことないわね……。 「ねえ」  なんだよ、と義明の視線がこちらを向く。 「あんた、実家とか帰らなくていいの?」  様子見の軽いジャブは、義明の怪訝そうな視線に受け止められた。 「……どうした、藪から棒に」 「いや、夏休みになったわけだし……あんたがこの家を空けることってほぼゼロだから、しばらく帰ってないんじゃないかと思って」  義明は黙り込む。  えーと……あれ? まずった?  フォローをせねば……! と私が一人焦っていると、 「別に、いい」  ぽつり、と一言。  ……どうやら、彼と家族の関係はあまり良いとは言えないみたいだ。  ここまで露骨に会話を拒否されるとは。 「まあ、あんたがいいなら、いいと思うけど」  私の口からああだこうだ言えることでもない。  義明は小さく息を吐いた。 「……ほら、さっさと食っちまえ。遅刻したらマズいんだから」  それっきり彼は口を噤んでしまった。  ぽりぽりぽり……ぬか漬けを咀嚼する音が大きく聞こえる。 「……ごちそうさま」  私は箸を進める速度を上げ、静かに朝食を終えた。  窓の外を見ると、夏の空は青く晴れ渡っている。  しかし、この家の中だけは、大いに曇り空のようだった。
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