高宮side

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あの日、先輩が知らない男に絡まれた時、俺は彼女を守ろうと必死だった。 喧嘩なんてしたことないし、正直怖かったけど、震える彼女を見ていたら、勝手に体が動いていた。 男から逃げ切ると、先輩は俺の事をかっこよかったよ、と言った。 好きな人に至近距離で見つめられ、おまけにそんなことを言われた俺は、もう自分の気持ちを抑えられそうになかった。 「先輩…俺に、キス、教えてください」 「え…?」 先輩は驚いたまま、そう呟いた。 「ダメ…ですか?」 目の前の彼女が愛しくてたまらない。 俺はゆっくり目を閉じると、顔を近づけてた。 鼻先が触れそうになった時、目を開けると、そこには震えながらも目をぎゅっと閉じる彼女がいた。 バカだなー、俺は…。 俺は彼女の頬にキスをすると、困ったように笑って、冗談だと告げた。 その後、慌てて去っていってしまった彼女。
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