噂の花咲さん。

高宮side

その日、メッセージを送っても、彼女からの返信はなかった。

あんなことをした俺に、先輩は怒ったのかもしれない…。

どうしようもなく不安だった。

そもそも家に無事に着いたのかもわからず、心配になった俺は、次の日、花咲先輩を探した。

ようやく先輩を見つけ、あの日のことを謝ったが、先輩は試しただけだと言う。

「もうさ、飽きちゃったんだよね。こんなお遊びの恋愛ごっこみたいなの。高宮くんなら私いなくても、もう大丈夫だって」

先輩がそう言った。

先輩みたいな素敵な人が俺のことを好きになるはずなんかないってわかってたのに…。

「花咲先輩…、俺は先輩にとって迷惑でしたか…？」

最後にそう質問した。

そんなことないよ、そう言ってくれるバカな期待をして…。

「うん、ハッキリ言って迷惑。もうさ、高宮くんと関わる気ないから。わかったら、早くどっか行って」

今まで聞いたことのないくらい冷たいその言葉。

でも、今思えば、あの時先輩は、どこか悲しそうな表情をしていた。