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花咲佳奈美の噂
噂なんて、ウソでもホントでもあっという間に広まっていく。
私、花咲佳奈美もその噂の被害者の一人である。
登校して早々、トイレの鏡に写った自分を見て、小さくため息をついた。
ここを出たら、私はいつもの私を演じなければいけない。
念入りに巻いた明るい髪、マスカラでボリュームたっぷりにした目、唇がふっくらとして見えるピンクのリップ。
シャツのボタンもギリギリまで開け、スカートも短い。
これが、いつもの花咲佳奈美だ。
トイレを出ると、さっそく私を見てコソコソと話す声が聞こえた。
「うっわ、花咲今日もえろいなー」
「1回でいいから相手してくんねぇかな」
ニヤニヤと笑う二人の男子生徒。
その二人を見ると、ニコッと笑顔を浮かべた。
二人は顔を真っ赤にすると、その場から逃げて行った。
逃げるくらいならコソコソ話さなきゃいいのに。
教室の前に来ると、私はもう一度小さくため息をついた。
教室のドアを開けると、
「あ、かなみん!おはよー!」
「待ってたんだよ〜」
同じクラスの優子と奈々が駆け寄ってくる。
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