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side:遥
「頼む……妹を呼んでくれ……。
もう限界なんだ……」
自室から這いつくばるように出てきたルームメイト、鹿嶋英人はうめきながらそう言った。髪は乱れ、弱々しい声と視線を私に向けながらもそのどれもがアイドル級に整っている。
「自分で呼べばいいじゃない」
イケメンの無駄遣いだな、と思いながら冷ややかな目で私は見下ろす。
「同じ大学なんてラッキー! 一緒に住めば家賃半分で済むしね」と親同士の会話で始まった幼なじみとの生活。いくら互いのことをよく知ってて安心と言っても、男女が同じマンションに住むなんてどうかしてると思う。親の正気を疑う。
そりゃ、仕送りもらってる身で文句言えないし、学生の身分で2LDKなんて住めないから助かるけどさ。
……なんて、最初はぶつくさ言ってたけど。
ちょっと期待していた。
英人のこと、実は好きだったから。
ほら、よくあるじゃない、「ドキドキの同居生活! 始めはそんなつもりじゃなかったのに、お互いのことがだんだん気になってきて……!?」ってストーリーで、最終的に結ばれる漫画。
――でも、改めて思う。
コイツはないな。
私はじぃー、と陰気に見上げてくる英人の視線に負けて英人の妹、桜ちゃんにラインを送ることにした。
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