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「遥さんに一目惚れした。ついては自分も同じ大学を目指すから、入学して2年間、悪い虫がつかないよう一緒に暮らして欲しい」
これが、桜の「お願い」だった。
そこから桜の動きはすごかった。親に手を回し、遥の親まで説得し、本当に俺と遥が同じ大学に合格したら一緒に住むよう計らったのだ。
ちなみに遥の親は百合男子だとそのときバレていて、以来なんだか生暖かい目で見られている。おかげさまで帰省する時に会っちゃったりするととても居心地が悪い。
意外だったのは当の遥がOKを出したことだ。合格発表後、妙に上ずった声で「これからよろしくね」なんて改まって挨拶してきたっけ。
しかし、人生はいつも予想外のことが起きるもので。
俺にも意外なメリットが出てきた。
俺の1番の推しカプが桜×遥になったのだ。
まさか身内と幼なじみの関係に萌える日が来るなんて。俺は悩んだ。しかし無自覚綺麗系お姉さんが妹系美少女に一方的に想われるというのは……自分としてはかなり好みのシチュエーションだった。
理性が萌えに負けた瞬間だった。
そんなわけで。
幼なじみがいつの間にか百合に夢中になってて、二親にもバレてて、それどころか桜の恋を応援する側に回っていて、この部屋は来年桜が大学合格したら俺が出ていくことになっているなんて――遥だけが知らないのだ。
そして俺は今、2人のキューピッドになるべく、さらに自分のときめきのために月に数回妹を呼びよせ、文字通り特等席で推しカプを鑑賞しているのだった。
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