2/4

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
彼女は『(かい)くんを呼んで』と言った。 それなら、考えられる可能性はだた一つ。 俺のことを、双子の弟、“(そら)”と勘違いしたのだ。 確かに、俺と空は双子だけあってそっくりだ。 体格とか声とかも似てるって言われる。 しかも、 今の俺の格好、 帰宅して着替えた部屋着は、某有名サッカー選手のユニフォームにジャージという姿。 さらに、普段学校でかけているメガネを外した状態。 サッカー部でコンタクトしてる空と間違われても仕方がない。 ちょっと複雑ではあるが、 よりによって告白する相手に気付かないなんて、天然の彼女っぽいじゃないか。 今は夕暮れ時で薄暗いし。 彼女から見ると逆光だったし………。 ……うん、仕方がない。 現状を改めて整理する。 『海くんを呼んできて』 ということは。 彼女が告白しようとしている相手は、 “海”、つまり、俺だ。 顔が自然と(ほころ)んでくる。 最近ますますきれいになった彼女を遠目には見てたけど、幼い頃のように話すタイミングを見つけられないでいた。 こんな形で幸運が舞い込んでくるなんて!
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加