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彼女は『海くんを呼んで』と言った。
それなら、考えられる可能性はだた一つ。
俺のことを、双子の弟、“空”と勘違いしたのだ。
確かに、俺と空は双子だけあってそっくりだ。
体格とか声とかも似てるって言われる。
しかも、
今の俺の格好、
帰宅して着替えた部屋着は、某有名サッカー選手のユニフォームにジャージという姿。
さらに、普段学校でかけているメガネを外した状態。
サッカー部でコンタクトしてる空と間違われても仕方がない。
ちょっと複雑ではあるが、
よりによって告白する相手に気付かないなんて、天然の彼女っぽいじゃないか。
今は夕暮れ時で薄暗いし。
彼女から見ると逆光だったし………。
……うん、仕方がない。
現状を改めて整理する。
『海くんを呼んできて』
ということは。
彼女が告白しようとしている相手は、
“海”、つまり、俺だ。
顔が自然と綻んでくる。
最近ますますきれいになった彼女を遠目には見てたけど、幼い頃のように話すタイミングを見つけられないでいた。
こんな形で幸運が舞い込んでくるなんて!
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