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「ちょっと待ってて、空を呼んできてやるよ」 再度ドアを閉めると同時に、頭を抱え込んだ。 チクショーッ! 空かーっ! 俺じゃねーのかよー…… ……いや、空。 当然、空、だよな。 顔はそっくりだけど、性格は正反対なんだ。 下手くそな俺はサッカーも途中で辞めちゃったけど、空はサッカー部のエースだ。 俺は黒縁メガネの暗いやつだけど、空はコンタクトしてるオシャレ男子だ。 どこからどうみても、空のほうがいい。 俺が女子でも空を選ぶ。 「何うめいてんの?」   バスタオルを頭からかけて空が出てきた。 くそーこいつめ。 のんきにシャワーなんて浴びやがって。 「……?何で睨むんだよ?」 「……花ちゃんが、来てる」 なんとか声を絞り出した。 「え?」 「空に何か渡したいみたい。今玄関で待ってる」 空は急に険しい顔をした。 「えー、そういうのめんどくせ」 興味なさそうにスマホを操作しながら言う。 「俺いらない。海、断ってきてよ。」   その途端、さっきから燻ってた怒りが沸点に達した。 「は?なんで俺が?そんなこと言えるわけないじゃん!?」 「あ、ミキから電話だ」 「おい、聞いてんのかよ」 「じゃあ頼んだよ、兄貴!テキトーに断っといてね」 空は逃げるように階段をあがって自室に入ってしまった。 はぁ?   こんな時だけ弟キャラ使いやがって。 テキトーに断るって…… そんなわけいくかーっ!!
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