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「ナツミとは、最初、町の掃除するボランティアで同じ班になって」  って、真面目か! 「それからもちょくちょく、俳句教室とか座禅の会とかで会うようになって」  待って、趣味渋くないか?! 「で、ナルができてさ」  てれ。漫画だったらそんな描き文字が入るような顔で、五十里君は目を逸らした。  てれ、じゃねえし!  しかもそこすごい端折(ハショ)ったなあ!?  でも、俺の口からはツッコミも文句も出なかった。二つめのプリン制作にかかるナルちゃんを見つめる五十里君の顔が、すごく優しくて。 「ナルちゃんが生まれたのって、中3の冬……だよね?」  作った手刀を収められないまま聞いたら、五十里君は後ろめたいことなんか何にもないみたいに、晴れやかな笑顔でうなずいた。 「ナルが生まれた時、今日からオレ父親なんだって、すげえプレッシャーだったけど。でも、めっっっちゃ嬉しかった!」 「そっかぁ」  ぶっ飛んでる。だけど、カッコいいかも。  彼女に子どもができて、怖くなって逃げたりしなかった中学生の彼は、たぶんちょっとバカだけど、すごく……男らしいと思う。 「五十里君、むこうの親に殴られたりしなかった?」 「たぶんオレが大人だったら、殴られたのかもだけど。制服でアイサツ行ったからさ、ワッペンのチューばっか、すげえ睨まれた」 「ワッペンのチュー?」 「うちの中学、(ここ)んとこに学校のマーク入ってて、『(チュー)』が真ん中にあったからさ」
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