お母さんがいない

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お母さんがいない

呆然と一日をやり過ごし、いつもの時間に家に帰る。 そこにあるはずのおやつはなかった。 朝、お父さんが落としたのだろうか。 お母さんのお気に入りのカップが粉々になって、床に散らばっていた。 家の中は静まり返っていて、なんだかひどく気味が悪い。 僕は音を立てないように2階にあがって、ランドセルを降ろす。 『お母さんがいない』 こんなことは初めてだった。
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