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置いてけぼり
要するにぼくとお父さんを捨ててお母さんは出ていった。
そしてお父さんは僕を、このおばあちゃん家に捨てていこうとしている。
僕の世界が突然、テレビの画面を消すようにプツンと音もなく消えた。
「要るものは後で送るから!」
「ちっとまちやっせ、聡一!」
逃げるように車に乗り込み去っていくお父さんは、僕のことをちらりとも見やしなかった。
縁側で立ち尽くす僕に、おばあちゃんは小さく首を振って言った。
「疲れたろうね。中にお入り」
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